退職所得の源泉徴収票をわかりやすく解説!その見方のコツも説明

更新日:2019/03/26

会社を辞める際に「退職金」を受け取れることがあります。最近では、退職金制度を設けない会社も増えていますが、昔ながらの企業に勤めていて勤続年数が一定以上である場合は、退職金の支給があることが多いでしょう。これは定年退職をした場合も同様です。

さて、ここで気になるのが「所得税」です。普通の給与や賞与にかかる所得税は、当然、退職金にもかかることになります。そこで、ここでは退職金の所得税についてご説明します。

退職所得の源泉徴収票をわかりやすく解説!その見方のコツも説明

そもそも「源泉徴収票」って何?

そもそも「源泉徴収票」って何?

給与や賞与、退職金などの会社員に対して会社が支給するお金には、所得税がかかります。給与等の支払者である会社は、こうした所得税を「源泉徴収」しなければならないと法律で定められています。

 

「源泉徴収」というのは、あらかじめ所得税を会社が預かっておき、全社員分をまとめて税務署に納付するという制度です。会社員が年末に確定申告をして、所得額に応じた所得税を自分自身で納める必要がないのは、その手続きを会社が代わりにしてくれているからなのです。

 

その結果が記されているのが「源泉徴収票」です。源泉徴収票には、1年間に給与等の支払いをいくらして、その中からいくらの所得税を源泉徴収したのかといった情報が記されています。源泉徴収票には、次の3つの種類があります。

 

・給与所得の源泉徴収票

毎年、年末あるいは年始に会社から支給される用紙です。1年に1度は必ず目にするものですから、一番馴染み深い源泉徴収票だといえるでしょう。一般的に、ただ「源泉徴収票」というと、この給与所得の源泉徴収票を意味する場合が多くなっています。なお、給与所得の源泉徴収票には賞与も含まれます。

 

・退職所得の源泉徴収票

退職所得についての源泉徴収票は、給与や賞与とは別に支給されます。なぜなら、源泉徴収する所得税の金額の計算方法が給与や賞与とは異なるからです。退職所得の源泉徴収票は、退職所得を受け取った際にもらえます。

 

・公的年金等の源泉徴収票

年金受給者にも源泉徴収票が発行されます。公的年金にも所得税がかかっているからです。毎年1回、1月頃に発行されます。

退職金の「所得税」の計算方法

退職金の「所得税」の計算方法

退職金は、所得税があらかじめ控除された金額が振り込まれます。この所得税の計算には2通りがあり、「退職所得の受給に関する申告書」をあらかじめ企業に提出するかしないかによって変わります。通常は提出した上で処理を進めますが、そうでない場合は、一律20.42%の源泉徴収税が控除されます。

 

「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、退職金から所得控除の額を引き、その金額をさらに2分の1した金額を退職所得の源泉徴収税額の速算表に当てはめ、該当の計算式に応じて所得税額を求めます。

 

退職金の所得税額の計算は「分離課税」となっていて、通常の給与等の金額とは分けて課税されることになっています。

 

なお、2037年までは所得税額の2.1%相当の復興特別所得税が課せられるため、実際に控除される所得税額は、上記の金額に1.021をかけた額となります。

退職金の「所得控除」の計算方法

退職金の「所得控除」の計算方法

退職金の所得税額の所得控除額は、その企業に何年勤めたかによって異なります。勤続年数が20年未満の場合は40万円×勤続年数、20年以上の場合は、800万円+70万円×(勤続年数-20年)が所得控除の額となります。

 

勤続年数40年の人が退職し、退職金として1,500万円を支給されたケースについて考えてみましょう。所得控除額は、800万円+70万円×(40年-20年)=2,200万円です。よって、1,500万円の退職金は全額が控除され、退職金にかかる所得税は0円ということになります。

 

ただし、ここで注意しなければならないのが、「確定拠出年金」です。確定拠出年金を一時金で受け取る場合は、退職所得と同じ条件で所得税が計算されることになります。

 

そのため、確定拠出年金のほかに退職金制度がある企業に勤めている場合、確定拠出年金を一時金として受け取ると、所得控除の額を大きく超えてしまい、高額な所得税が課せられる可能性があるのです。年金で受け取った場合とどちらが、節税効果が高いかを検討する必要があるでしょう。

 

一方で、退職金制度がない会社で確定拠出年金をかけていた場合は、退職所得と同様の所得控除を利用することができることから、所得税がかかることなく確定拠出年金を受け取れる可能性があります。

 

自分がどのようなケースに該当するのか、また、実際に確定拠出年金を一時金で受け取った場合にかかる税額について知りたい人は、確定拠出年金に加入している金融機関等に問い合わせてみてください。税金の計算方法を知って、受け取るタイミングや金額を調整するようにしましょう。

確定申告はすべき?

もし、「退職所得の受給に関する申告書」を提出せずに、20.42%の所得税がかけられているのだとしたら、絶対に確定申告をすべきです。

 

前述の、勤続年数40年で1,500万円の退職金を受け取った人が、仮にこれに該当していた場合、1,500万円×20.42%=306万3,000円もの所得税を控除されていることになります。確定申告をすれば、「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合と同様の計算が行われますから、これが丸々還付されるのです。

 

確定申告というと「面倒だ」と思う人が多いかもしれませんが、今は電子申告を利用することもできますし、郵送で手続きをすることも可能です。還付される税金があるときは、きちんと申告をするようにしましょう。

 

一方、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人の場合は、確定申告をしなければいけないということはありません。退職所得以外の理由がある場合はもちろん確定申告をすべきですが、そうでなければ特に申告は不要です。退職金にかかる税金の納税義務者は本人ですが、会社が代理で手続きをしてくれているからです。

退職金にまつわるその他の注意点

退職金にかかる税金は、所得税だけではありません。市民税や区民税、都道府県民税といった「住民税」も、退職金にかかる税金です。住民税の場合、所得税とは違い、税額に反映されるのは収入があった年の翌年です。そのため、退職した翌年は住民税がかなり高額になる可能性があります。あらかじめ退職金の一部を税金用に確保しておくといった対策が必要です。

 

また、本人が死亡して退職することになった場合は、退職金は相続財産の一部とみなされます。この場合は、法定相続人の数×500万円を超える金額について相続税が課せられます。たとえば、死亡した方に配偶者と2人の子どもがいた場合、法定相続人は3人です。そのため、500万円×3人=1,500万円を超える金額を受け取った場合に、超えた部分に対して相続税がかかることになります。

参考サイト

・国税庁|退職所得の源泉徴収税額の速算表 2019.8.9
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/2732_besshi.htm

  • 著者:平林恵子さん

    人事労務関係の仕事からライターへ転身。
    経験を活かしてコラム執筆を行っています。
    2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。
    税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。


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