厚生年金保険料はどうやって決まるの?計算方法や免除されるパターンを解説

更新日:2019/04/05

会社員が毎月の給与から控除される社会保険料のひとつに、「厚生年金保険料」があります。保険料は給与明細に書いてあるものの、常に同じというわけではなく、1年のなかでも変動があります。とはいえ、所得税のように「毎月違う」というわけでもありません。厚生年金保険料は、どのように決まっているのでしょうか?計算方法をご説明します。

厚生年金保険料はどうやって決まるの?計算方法や免除されるパターンを解説

厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料の金額を決めるのは、次の2つの要素です。

 

1. 厚生年金の保険料率
2. 標準報酬月額

 


このうち、「厚生年金の保険料率」は段階的に毎年上がってきましたが、2017年9月に18.3%と決められてからは固定となり、その後は上がっていません(2019年3月現在)。

 

ところが、給与額に18.3%をかけた金額が厚生年金の保険料になるのかというと、そうではありません。なぜなら、厚生年金保険料は社員と会社が半分ずつ支払うと決められているからです。つまり、18.3%のうち社員が負担するのは半分の9.15%になります。

 

それでは9.15%をかければ保険料が算出できるのかというと、実はこれも間違いです。厚生年金保険料は、それぞれの人の「標準報酬月額」に9.15%をかけることで求められます。そのため、残業代などによって給与が上下したとしても、控除される保険料は基本的に同じなのです。

 

なお、賞与については、1,000円未満を切り捨てた標準賞与額(上限150万円)に9.15%をかけて算出します。たとえば、賞与支給額が32万1,250円だった場合、32万1,000円×9.15%=2万9,371円が厚生年金保険料となります。

標準報酬月額って何?

標準報酬月額って何?

厚生年金保険料を決めるポイントとなる「標準報酬月額」は、年に一度の「定時決定」と、昇給等の理由によって固定的に支払われる賃金が一定額以上変動した場合に行われる「随時改定」によって決まります。定時決定や随時改定では、原則として3カ月間の給与の平均額から標準報酬月額を求めます。

 

たとえば各種手当を含めた給与の合計額が月20万5,000円の人の場合、標準報酬月額は「20万円」です(※下記の厚生年金保険料額表を参照)。この人が昇給して基本給が3万円上がったとすると、月給は23万5,000円。このときの標準報酬月額は「24万円」になります。

 

実際の標準報酬月額は、昇給があった月から3カ月間の給与の平均から求めます。4月に昇給した場合、4月から6月の3カ月間における給与の平均を元に標準報酬月額が決定し、7月分の保険料から適用されます。

 

ただし、「4月から残業が多くて支給額が3万円増えた」という場合は、標準報酬月額の見直しの対象になりません。これは「固定的賃金」ではないためです。固定的賃金には、基本給や毎月必ず支払われる手当、交通費などが含まれます。

 

また、「固定的賃金が増えたけれど、残業代が減ったために給与が下がった」という場合も、随時改定の対象外です。「固定的賃金が上がって、標準報酬月額が2段階以上上がった場合」か「固定的賃金が下がって、標準報酬月額が2段階以上下がった」場合が対象となります。

「4、5、6月の残業は損」って本当?

「4、5、6月の残業は損」って本当?

標準報酬月額が変わるのは、「定時決定」と「随時改定」だというお話をしました。このうち、随時改定は固定的賃金が変動したときに行われるものですが、定時決定は年に1度、9月に見直されるものです。ときどき、「4月から6月に残業をすると保険料が高くなる」と言われることがあるのは、これが原因です。

 

定時決定は、「4月、5月、6月の給与の平均を求めて、それを元に標準報酬月額を定め、9月分の保険料から変更を行う」というものです。たとえば、月給20万円でこれまで標準報酬月額も20万円だった人が、4月から6月までに残業を行い、平均の給与が22万円だったとします。そうすると、標準報酬月額は22万円となり、保険料が上がってしまうのです。

 

なお、4月に昇給があった人の場合は、随時改定が優先されるため、定時決定は行われません。定時改定と同じように4月、5月、6月の給与の平均から標準報酬月額を求めることになりますが、この場合、新しい保険料は9月からではなく、7月から適用になります。

 

標準報酬月額が上がれば、確かに厚生年金保険料は高くなるでしょう。しかし、その分将来もらえる年金の金額も高くなります。厚生年金の場合、保険料が上がっても、半額は会社が負担してくれるため、リターンに対する負担はそれほど大きくありません。保険料が上がることは事実ですが、将来のことまで考えれば、一概に「損」とは言い切れないでしょう。

国民年金(老齢基礎年金)との比較

厚生年金保険料とは異なり、国民年金保険料は所得の額にかかわらず、一律で「1万6,340円(2018年度)」と決まっています。厚生年金を支払っている人の場合、厚生年金保険料に国民年金保険料も含まれるということになるため、別途保険料を支払う必要はありません。また、厚生年金保険料を支払っている人が扶養している配偶者についても、国民年金保険料は免除されます。

産休・育休中は免除される

産休・育休中は免除される

一方、厚生年金保険料も「免除」されることがあります。それが、産休や育休を取得している場合です。

 

産休・育休中の社員は、その間、一時金や手当を受け取ることができますが、これに加えて保険料も免除されるため、金銭的なメリットは大きいといえるでしょう。なお、免除されるのは「復帰した月以外」の保険料です。たとえば、4月10日から休業し翌年4月25日に復帰した場合、保険料が免除されるのは4月から翌年3月までの保険料ということになります。

 

 

保険料の算出方法や保険料率、免除制度などは、刻々と変化していきます。実際に利用しようと思ったら、その時点での最新の制度を確認するようにしてください。

参考サイト

・日本年金機構|平成29年9⽉分(10⽉納付分)からの厚⽣年⾦保険料額表 2019.9.4
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/20170822.files/1.pdf

  • 著者:平林恵子さん

    人事労務関係の仕事からライターへ転身。
    経験を活かしてコラム執筆を行っています。
    2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。
    税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。


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