44年以上加入すると年金が増える!?厚生年金の長期加入者特例を解説

更新日:2019/05/28

厚生年金とはサラリーマンが加入する年金制度で、国民年金に上乗せされることから「2階部分」とも呼ばれます。この厚生年金に44年以上加入していて、その他の条件をすべて満たす人は、長期加入者特例として給付の上乗せがあります。どんな制度なのか、詳しく見ていきましょう。

44年以上加入すると年金が増える!?厚生年金の長期加入者特例を解説

もくじ

・厚生年金についておさらい

・厚生年金の長期加入者特例って?

・受給できる年金額は?

・加給年金額もプラスされる

厚生年金についておさらい

厚生年金についておさらい

厚生年金はサラリーマンや公務員など、被雇用者が加入する年金のことです。公務員が加入する年金は共済年金という名称ですが、これも厚生年金の一種。加入している人は第2号被保険者と呼ばれます。対象年齢は70歳未満ですが、65歳以上70歳未満で老齢年金の受給権がある人は加入できません。

 

月額保険料は報酬月額の18.3%。半分は給与支払者が負担するので、被用者が負担するのは9.15%です。これは単純に給与×9.15%というわけではなく、標準報酬月額表の等級区分に応じて決まります。

 

老齢厚生年金が受け取れるのは、厚生年金に加入していた期間があって、老齢基礎年金(国民年金)の受給資格期間を満たした人です。老齢厚生年金は老齢基礎年金に上乗せされるものなので、厚生年金単独で受け取ることはできません。

厚生年金の長期加入者特例って?

厚生年金の長期加入者特例って?

厚生年金には長期加入者特例があり、長く加入していた人には年金が上乗せして支給されます。長期加入者特例が適用されるには、以下3つの条件をすべて満たす必要があります。

 

1.特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給者
2.厚生年金保険の加入期間が44年以上(528月以上)ある人
3.厚生年金の被保険者ではない人(≒すでに退職している人)

 

順番に見ていきましょう。

 

1.特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給者

まず「特別支給の老齢厚生年金」を受け取るための条件を満たさなければなりません。

 

・1961年(昭和36年)4月1日以前に生まれた男性
・1966年(昭和41年)4月1日以前に生まれた女性
・老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上)がある
・厚生年金保険に1年以上加入していた
・60歳以上65歳未満

 

この条件を満たす人は、65歳になる前に老齢厚生年金が支給されます。支給開始年齢は生年月日によって異なります。長期加入者特例が受けられるのは、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給を受けている人です。65歳に達すると通常の老齢厚生年金が支給されるので、対象になりません。

 

2.厚生年金保険の加入期間が44年以上(528月以上)ある人

なぜ44年という中途半端な年数かというと、中卒で働きはじめた人が60歳になるまでの期間が44年だったためです。高卒で働きはじめた人は63歳まで働くことで44年の期間を満たします。短大卒、大卒となると44年の期間を満たす前に65歳となり、通常の老齢厚生年金が支給されるため、対象になりません。

また、

 

・日本年金機構の管理する厚生年金被保険者期間
・公務員共済組合に加入している厚生年金保険被保険者期間
・私学共済に加入している被保険者期間

 

のいずれか1つの種別で44年以上を満たす必要があります。厚生年金に44年間入っていたとしても、民間企業で43年、公務員で1年というケースは対象になりません。

 

3.厚生年金の被保険者ではない人(≒すでに退職している人)

上記1と2の条件を満たしていても、現に厚生年金の被保険者である場合には支給対象になりません。だからといって、仕事を持っている人がこの特例を受けたいがために退職するのはあまり得策ではないでしょう。この特例が受けられるのは最大で5年間だからです。期間は生年月日によって決まるのですが、人によっては1年しか受けられないこともあります。

 

年金受給資格者が退職したら、事業所が被保険者資格喪失届を年金事務所に提出します。その人が長期加入者に当てはまる場合は、自ら長期加入者である届出を出さなくても、受給する年金に特例分が自動的に上乗せされる仕組みです。

受給できる年金額は?

受給できる年金額は?

特別支給の老齢厚生年金には「報酬比例部分」と「定額部分」の2つがあります。44年以上の長期加入者特例とは、本来「報酬比例部分」だけしかもらえない人が、「定額部分」ももらえるという制度です。定額部分は「1,626円×生年月日に応じた率×被保険者期間の月数」によって計算されます。

 

たとえば1946年(昭和21年)4月2日以降に生まれた人の率は1です。この人が44年間(528月)加入していたとしましょう。1,626円×1×528月かと思いきや、昭和21年4月2日以降生まれは480月が上限となるため、1,626円×1×480月=78万480円がプラスされます。年間80万円以上稼げる人は、この特例を受けるために退職するのはあまり意味がなさそうです。

加給年金額もプラスされる

長期加入者の特例の対象者は、定額部分に加えて加給年金額も上乗せされます。加給年金は老齢厚生年金の支給開始年齢時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者、18歳未満の子供(1級・2級の障害の状態にある場合は20歳未満)がいる場合に支給される年金です。

 

被保険者期間が20年以上必要ですが、長期加入者の特例を満たす人は全員満たしているでしょう。配偶者は22万4,500円、1人目、2人目の子供は各22万4,500円、3人目以降は各7万4,800円が上乗せされます。加給年金額加算のためには、届出が必要です。対象になっている人は忘れずに手続きしましょう。

  • 著者:宮島ムーさん

    関西に住む子育て中の主婦です。 お金や不動産に興味があり、日商簿記1級・FP2級・宅建などの資格を独学で取得しました。 記事ではなるべく専門用語を使わず、わかりやすく説明するよう心がけています。
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