年金を払わないと違法なのか?免除や猶予制度について知っておこう

更新日:2020/06/01

年金は老後の生活資金の中心的な役割を担っています。会社員やその配偶者、つまり国民年金の第二号被保険者・第三号被保険者となっている方は、保険料が給料から天引きされている でしょう。しかしフリーランスや学生・自営業の方など、第一号被保険者は自分で保険料を納付しなければなりません。 そこで問題となるのが、未納や滞納の問題。ここでは保険料を払わなければどうなるのか、払えない場合に用意されている制度にはどのようなものがあるのかを確認していきたいと思います。

年金を払わないと違法なのか?免除や猶予制度について知っておこう

年金を払わないと違法

年金を払わないと違法

結論から言えば、国民年金の保険料を納めないことは、法律に反すると言えるでしょう。年金に関しては、1959年に制定された「国民年金法」の第7条で、日本国内に住んでいる、20歳以上60歳未満の方は全て国民年金に加入することと規定しています。

 

さらに国民年金法第88条は「保険料の納付義務」について、「被保険者は、保険料を納付しなければならない」としています。これらのことから、対象となっている方は国民年金の被保険者となり、保険料の納付義務があるということになるでしょう。年金を払わないことは、違法と考えられます。

未納者の数と推移

未納者の数と推移

厚生労働省では、「国民年金の加入・納付状況」を公表しています。平成30年度分をみると、納付率は68.1%でした。30%以上が納付されていないことになります。ちなみに計算の分母となる「納付対象月数」には、納付が免除・猶予されているものは含んでいません。平成26年度納付率は63.1%、平成27年度は63.4%、平成28年度は65.0%、平成29年度は66.3%と推移していて、未納者の数は少しずつ減っているということになります。

 

また納付率のデータには、「最終納付率」という項目があります。これは、保険料の後払い(追納)制度によって納付された分を含んだ数字です。こちらの数字をみると、納付率が65.0%だった平成28年度では、最終納付率が74.6%まで上がり、未納分は約25%まで下がります。

 

追納の制度を利用すると、保険料の免除や猶予の承認を受けた分を後から支払うことができます。老齢基礎年金の年金額を増やしたり、社会保険料控除を使って所得税・住民税を抑えたりできるといったメリットのある制度です。

滞納し続けるとどうなる?

滞納し続けるとどうなる?

国民年金に加入していると、「老齢基礎年金」・「障害基礎年金」・「遺族基礎年金」を受給することができます。ただし支給要件があり、そこには保険料納付済期間が含まれています。滞納し続けると、受給できなくなったり金額が減ったりと影響が出てくるので、注意が必要です。

 

例えば老齢基礎年金は、65歳になると支給されます。しかし、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上あることが条件です。障害基礎年金の受給に必要な条件には、「初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること」が含まれます。遺族基礎年金では、「死亡した者について、保険料免除期間を含む保険料納付済期間が加入期間の3分の2以上あること」という条件があります。

 

また保険料の滞納で気を付けたいのは、財産を差し押さえられる可能性があるということです。これは国民年金保険料の「強制徴収」と呼ばれるもの。平成29年度には、1万4,344件の財産差し押さえが実施されました。

 

ただし滞納をしたからといって、すぐに強制徴収が行われるわけではありません。保険料を納付していない期間があると、まず「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」が届きます。さらに滞納がつづくと送付されるのが「特別催告状(とくべつさいこくじょう)」。納付するか免除・猶予の手続きをすることが必要です。これを無視してしまうと「督促状(とくそくじょう)」が届き、差し押さえの可能性が高まります。対象となるのは給与や預貯金、不動産など。延滞金と合わせて徴収されることになります。

免除と猶予について

免除と猶予について

保険料の納付が難しい場合には、免除・猶予の制度が用意されています。収入の減少や失業などでは「保険料免除制度・納付猶予制度」が利用可能です。学生の場合は「学生納付特例制度」。配偶者からの暴力(DV)を受けている方向けの、特例免除もあります。また出産の際の免除として、「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」もあるので状況に応じて利用するのが良いでしょう。所得などの条件があるので、確認が必要です。

 

未納の状態では、老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金における「受給資格期間への算入」がありません。受給できなくなる可能性があります。しかし免除・猶予の手続きをすることで、納付しなくても受給資格期間への算入が可能となります。大きなメリットと言えるでしょう。

 

ただし保険料免除・納付猶予された期間があると、老齢基礎年金の年金額が低くなります。これについては、保険料の追納によって、年金額を満額に近づけることが可能です。後から余裕があれば、老後の生活資金のためにも追納を検討するのが良いでしょう。

 

このように国民年金の保険料を滞納すると、受給資格の面で不利になったり、財産の差し押さえが行われたりします。経済的に納付が難しい場合は、免除・猶予の制度を活用することが必要です。とくに第一号被保険者となっている方は注意が必要でしょう。

 

また自営業者などの場合、国民年金だけでは老後の生活資金が不足する可能性があります。会社員でも人生100年時代に備え、資金を積み増しておきたいと考える方も多いと思います。そんなときには、確定拠出年金のiDeCoがおすすめです。掛け金が「全額所得控除」となり、所得税・住民税を安くできるのが魅力。掛け金には上限があり、自営業者で年額81万6,000円、企業年金がない会社の社員で年額27万6,000円などとなっています。節税のためにも余裕資金があれば、利用したい制度です。

  • 著者:黒川ヤスヒトさん

    証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。
    現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。
    関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。


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