退職後は確定拠出年金をどうするべき?退職、転職時に気を付けたいこと

更新日:2020/06/02

老後の備えとなる年金には、国民年金や厚生年金のほかに、確定拠出年金があります。個人型と企業型があり、個人型はiDeCoとして知られています。厚生労働省のデータによると、2019年3月末でのiDeCoの加入者数は121.0万人。10年前と比較すると、12倍もの増加となりました。企業型確定拠出年金(DC)の加入者も増えていて、2019年3月末における企業型の加入者数は687.8万人。10年前の2009年から倍増しています。ここでは個人型・企業型確定拠出年金の概要と、転職・退職した際の取り扱い、老後の受け取り方について解説していきます。

退職後は確定拠出年金をどうするべき?退職、転職時に気を付けたいこと

確定拠出年金とは

確定拠出年金とは

まずは日本の年金制度における、確定拠出年金の位置づけを確認しておきましょう。年金の仕組みは、建物に例えると「1階部分」・「2階部分」・「3階部分」といったように表現することができます。

 

会社員・公務員の場合は1階に国民年金があり、2階に厚生年金、そして3階に確定拠出年金があります。自営業などでは1階に国民年金がありますが、厚生年金はなく、3階部分として国民年金基金や確定拠出年金への加入が可能です。また厚生年金加入者に扶養される配偶者(専業主婦・主夫)では、国民年金に加えて個人型の確定拠出年金に加入することができます。

 

・確定拠出年金の種類

確定拠出年金には個人型と企業型があり、個人型確定拠出年金はiDeCo、企業型確定拠出年金は企業型DCと呼ばれることもあります。企業型に加入できるのは、従業員として勤めている会社が、企業型確定拠出年金を実施している場合です。自営業者や専業主婦・主夫などは、個人型のiDeCoに加入することになります。また企業型に加入している場合でも、規約で認められていれば個人型への加入も可能です。

 

・将来の給付額は運用次第

確定拠出年金の特徴は、掛金の管理と運用を加入者が自ら行うことです。将来の給付は、掛金と運用収益の合計で決まります。加入者の運用次第で、結果が変わってくるということです。運用結果に関係なく給付金額が算定される「確定給付年金」とは異なります。

 

・掛金を拠出するのは?

確定拠出年金の掛金は個人型では加入者が拠出します。企業型では基本的に事業主が拠出しますが、規約によって「マッチング拠出」制度があれば、個人が上乗せで拠出することも可能です。また企業型確定拠出年金がない中小企業の従業員が個人型に加入している場合、事業主が上乗せで拠出する「iDeCo+(イデコプラス)」という制度もあります。

退職したあとの確定拠出年金はどうするべき?

退職したあとの確定拠出年金はどうするべき?

個人型・企業型の確定拠出年金に加入している状態で、離職や転職をする場合はどうすればよいでしょうか。各年金制度間にはポータビリティ(年金資産持ち運びの自由)があるので、確定拠出年金で積み立てた年金資産をほかの年金制度へ持ち運べる場合があります。年金資産を制度間で移動することを、「移換(いかん)」と呼びます。

 

・転職後の移換

確定拠出年金では原則として、60歳までの途中引出しや脱退ができません。離職・転職の際には、移換の手続きをおこなうことになります。いくつかのパターンをみてみましょう。

 

企業型確定拠出年金に加入していた場合は、転職先に企業型があればそこに移換することができます。なければ個人型への移換が可能です。その場合iDeCoの口座を開設することになります。もともと個人型に加入している場合、次の勤め先に企業型があれば、そちらへの移管ができます。そのまま個人型への加入をつづけることも可能です。規約で決められているケースもあるので、確認が必要です。

 

・自動移換とは

離職や転職にともない退職すると、確定拠出年金の移換手続きをすることになりますが、注意すべき点もあります。企業型確定拠出年金の加入者は、退職日の翌日に加入者資格を失います。その日が属する月の翌月から数えて、6カ月以内に移換手続きをしなければ、資金が国民年金基金連合会というところへ「自動移換」されてしまうのです。

 

自動移換にはいくつかのデメリットがあるので注意しましょう。国民年金基金連合会への自動移換中は、管理手数料が差し引かれ、運用の指図ができません。また資金に利息が付かない状態になります。老齢給付金の受給には10年の加入期間が必要ですが、自動移換中は加入者期間に算入されません。自動移換されても、あとで自分が選んだ企業型・個人型の確定拠出年金などへ移換できるので、早めに手続きをすることが重要です。

確定拠出年金はどのように受け取ればいい?

確定拠出年金はどのように受け取ればいい?

確定拠出年金の魅力は、大きな税制メリットです。個人型のiDeCoの場合、拠出金は全額所得控除の対象、運用時の利益も非課税となっています。60歳以降にお金を受け取るときにも、税制のメリットを受けられるよう考慮した選択をおこなう必要が出てきます。

 

受け取り方には、「年金」・「一時金」・「年金と一時金の組み合わせ」があり、選択が可能です。税金については年金の場合、公的年金等控除が使え、控除額はほかの年金と合わせた収入で決まります。公的年金等の雑所得は、「収入金額-公的年金等控除額税」で計算します。税金の負担が少なくなるように、年金として受け取る金額を調節することができるでしょう。

 

一時金として受給する場合に使えるのは、退職所得控除です。控除額は勤続年数で決まり、退職所得は「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で計算します。収入には、一時金として受け取る確定拠出年金のほか、退職金も含まれます。ポイントは最後に2分の1を掛けること。所得が少なく計算され、税負担が少なくなります。

 

確定拠出年金の受給では、年金で受け取るか、一時金で受け取るか、その組み合わせも考えられます。確定拠出年金から受け取る金額を計算し、ほかの年金や退職金との関係も考慮して、税負担が少なくなる方法を考えるのがよいでしょう。

 

このように加入者が増えつづけている確定拠出年金。個人型と企業型があり、離職・転職の場合には資金の移動が必要となることもあります。個人型の口座を作りたいというときには、楽天証券がおすすめです。コスト面では、運営管理手数料0円となっているのが特徴。運用中には、楽天証券のIDだけで年金口座もまとめて管理できて便利です。長期戦となる老後資金の準備には、使いやすいと感じる口座の利用がよい結果につながるでしょう。

  • 著者:黒川ヤスヒトさん

    証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。
    現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。
    関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。


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