年金が破綻?厚生年金基金が解散?解散後取るべき行動とは

更新日:2020/08/13

「厚生年金基金」というものをご存知でしょうか?「日本の年金が危ない!」「破綻している」などという話を目にすることも多い最近ですが、日本の年金制度には「基礎年金」と呼ばれる国民年金と、「厚生年金」のほかにも、いろいろなものがあるんです。厚生年金基金もそのうちのひとつ。

最近はどんどん減少している厚生年金基金ですが、一体どのようなものなのかまとめました。また、厚生年金基金が「解散」してしまった場合の対処法についてもご説明します。

厚生年金基金が解散、解散後取るべき行動とは

公的年金破綻は起こるのか?

2019年の金融庁の審議会の指針で、高齢夫婦の世帯には老後の蓄えとして2,000万円が必要になると発表されていたことからわかるように、今後年金だけで生活することはより難しい状況になっています。そんな中で、年金破綻が囁かれていますが、これに関しては疑問の声が多くあります。年金のシステムとして、完全に年金が破綻するということはないと言われる一方で、現状維持することは難しい模様。2019年8月の厚生労働省による発表では、今後28年間で年金水準は2割弱目減りしたのちに維持されるとのこと。年金破綻を起こさないために受け取る金額が減ってしまうことはすでに予測されています。

厚生年金基金とは

国民年金や厚生年金が「公的年金」であるのに対し、厚生年金基金は、国が運営しているのではなく民間が運営する「私的年金」にあたります。日本の年金制度は、よく「1階部分が国民年金」「2階部分が厚生年金」などと、建築物に例えられることがあります。この例で行くと、厚生年金基金は「3階部分」にあたるといえるでしょう。

 

ただし、これらの年金制度には国民全員が加入できるわけではありません。20歳以上であれば全員加入できる(しなければいけない)のは、1階部分の国民年金だけです。2階部分の厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金、そして3階部分の厚生年金基金は、「厚生年金基金制度のある会社に勤めている人」だけが加入できる年金制度です。

企業年金基金との違い

企業年金基金との違い

厚生年金基金は民間の団体が運営する私的年金ですが、完全に私的な年金運営だけを行っているのかというと、そうではありません。厚生年金基金は、公的年金のうち「厚生年金」の運用代行も行っています。ここで得た利益についても、将来の年金原資として利用していたのです。

 

ところが、景気が悪化するにしたがって、こうした運用益がだんだんと得られなくなってきました。国民年金や厚生年金の財源が心配されている昨今ですが、同様に、厚生年金基金についても運営状況が悪化し、予定通りの年金給付が難しくなっているケースが増えてきています。

 

一方の企業年金基金も、企業と社員が年金保険料を拠出して基金が運用し、将来に備えるという点では厚生年金基金と同様です。しかし企業年金基金は、厚生年金の運用代行がありません。あくまでも企業年金としての保険料だけを運用し、将来に備えるという違いがあります。

厚生年金基金の仕組み

厚生年金基金制度は、厚生年金と同様に社員と会社で折半(あるいは会社負担割合が社員を上回る率)した保険料を集めて、別途設立された基金団体が運用することで将来に備えるものです。この「基金」は、会社が単独で設立する場合、グループ会社が集まって設立する場合、同じ業界の会社などが複数集まって設立する場合の3種類があります。

 

集めたお金を会社が運用するのではなく、独立した基金が運用することで、会社の業績悪化や倒産といったリスクに左右されることなく将来のための年金原資を守れるというのが、厚生年金基金の基本的な仕組みです。

 

ただし、現実には厚生年金基金の運用状況は非常に芳しくなく、厚生年金の運用代行をするメリットも薄れていきました。そのため、2002年に運用代行部分を国に返上し、厚生年金基金を確定給付企業年金に移行できるという制度ができました。

さらに現在では、厚生年金基金の新規設立は禁止され、今ある基金についても、確定給付企業年金への移行か解散が求められているという状況です。そのため、2020年現在では、厚生年金基金のほとんどはほかの年金制度に変更されることとなっています。

脱退一時金を受け取るべき?

脱退一時金を受け取るべき?

厚生年金基金が解散された場合、「選択一時金を受け取る」「一時金を受け取る」「年金として受け取る」という3つの選択肢があります。

 

選択一時金というのは、解散時に受け取れる一時金のことで、これを受け取ってしまうと、受取額が大幅に少なくなってしまうため、あまりオススメできません。一方、一時金は、残っている財産がいくらなのかを確定させてから分配される一時金のことで、選択一時金として受け取るよりも多く受け取れます。

 

このことから、もし一時金を受け取るのであれば、選択一時金ではなく、残余財産が確定した後で受け取るべきだということがわかります。

 

最後の「年金として受け取る」場合は、これまでに積み立てた額を確定拠出年金や確定給付年金に移管して、将来年金として受け取る仕組みです。この場合に将来いくら受け取れるのかといったことは、それぞれの人の状況によって異なるため、個別に問い合わせをする必要があります。

 

どの選択をするのがいいか、一概にいえることはできませんが、厚生年金基金で受け取ることのできる年金は、基本的に終身年金です。人生100年時代といわれる昨今、長生きリスクを回避するためには、年金として受け取るという選択肢もあるでしょう。どちらが得なのかは、基金からもらえる資料を基に、具体的に受け取れる金額を確認した上で考えてみてください。

自分が加入しているか確かめる方法

自分が加入しているか確かめる方法

厚生年金基金に加入しているかどうかわからない場合は、年金手帳を持って社会保険事務所に問い合わせに行くのが一番確実です。また、今の会社で厚生年金基金に加入しているかどうかが知りたい、あるいは、今の会社に年金制度があるのかどうか知りたい、という場合は、企業の総務窓口などで問い合わせてみましょう。

既存の年金制度以外を利用する

既存の年金制度以外を利用する

老後に2,000万円必要だ、という発表は批判を受けたため審議中です。そのため一概には言えませんが、これから老後を迎える人々にとってはこれまでの年金制度だけを頼りに生きることが困難になります。そこで代替としてiDeCoが話題になりつつあります。iDeCoは、加入者個人が毎月一定の金額を積み立てて運用することで、老後の資金をやりくりするための制度をさします。詳しくは楽天証券個人型確定拠出年金(iDeCo)をご確認ください。

  • 著者:平林恵子さん

    人事労務関係の仕事からライターへ転身。
    経験を活かしてコラム執筆を行っています。
    2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。
    税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。


この記事をチェックした人にはコチラ!

関連記事