勤労学生控除って?働く学生が知っておきたい制度について解説

更新日:2019/08/02

毎年秋ごろになると、会社に年末調整のための書類を提出することになります。自営業やフリーランスの人は自分自身で確定申告をしますが、給与をもらって働いている会社員の人は、会社が確定申告の代わりになる年末調整をしてくれるのが一般的です。年末調整は、1年間の所得と、その人の納めるべき税金を確定させるための書類です。そのため、さまざまな控除の条件に当てはまるかどうかを申告する必要があります。この控除のひとつが「勤労学生控除」です。

勤労学生控除って?働く学生が知っておきたい制度について解説

勤労学生控除って?

勤労学生控除って?

「勤労学生控除」は、住民税や所得税の軽減のためにある制度です。利用できるのは、「働きながら学校に通っている人」のうち一定の条件を満たす人。収入金額から給与所得控除(65万円)を引いた後、さらに勤労学生控除(27万円)を引いて税額を計算できるため、それだけ税金を低く抑えられるのです。

 

勤労学生控除を利用するためには、下記の条件をすべて満たす必要があります。

 

1.「勤労」によってお金を得ている(働いてお金をもらっている)

2. 合計所得金額が65万円以下で、勤労以外の所得が10万円以下(収入が給与だけの場合は、年収130万円以下で、それ以外の収入から経費を引いた金額が10万円以下であること)

3. 高校や大学、専門学校などの国が定めた学校の学生

 

つまり、「アルバイトをしながら学校に行っている大学生」や「夜間学校に通いながら結婚して働いている人のうち、年収が130万円以下の人」などは、勤労学生控除の対象になる可能性があるということです。

 

しかし、そもそも年収103万円以下の場合は所得税がかかりませんし、年収100万円以下の場合は住民税もかかりません。つまり、年収が100万円以下の場合は特に勤労学生控除を申告する必要はないということです。

 

まとめると、勤労学生控除を利用できる人というのは「年収が100万円を超えていて130万円以下の、学校に通っている人」ということになります(給与収入の場合。ユーチューバーやアフィリエイト、イラストレーターなど、フリーランスとして収入を得ている場合は、収入-経費が35万円を超えて65万円以下の方が対象)。

控除を受けるための手続き方法

控除を受けるための手続き方法

勤労学生控除を受けるためには、年末に会社から求められる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「C」という欄に記入します。

 

障害者区分についての表の隣に、「寡婦」「特別の寡婦」「寡夫」「勤労学生」という4つの項目があるので、このうちの「勤労学生」にチェックを入れましょう。勤労学生であることの証明として、学生証のコピーを添付して提出します(細かい確認方法は会社によって異なる場合があります)。

 

なお、これはあくまでも「給与をもらっている本人」が学生の場合に利用できる制度です。「アルバイトをしている子どもを扶養する親」などが受けられる控除ではありませんから注意しましょう。

注意点

注意点

勤労学生控除を利用する際に気を付けなければいけないのが、親の扶養に入っている場合です。学生の場合、多くの人が親の扶養親族になっているでしょう。しかも、アルバイトで仕事をしている可能性が高い16歳以上23歳未満の子どもは「特定扶養」として、通常の扶養親族よりも多くの控除を受けることができます。

 

ところが、扶養控除を受けることができるのは、年間の所得金額が38万円以下の場合のみと定められています。給与収入の場合は、年収103万円以下ということです。

 

さて、ここで「勤労学生控除を受けられる条件」を思い出してみましょう。年収103万円以下の場合、そもそも所得税がかからないため、勤労学生控除を利用するメリットがありません。つまり、「103万円を超えて稼いで子どもが勤労学生控除を受ける」か「子どもの稼ぎを103万円以下に抑えて親が扶養控除を受ける」のどちらかになります。

 

ほとんどの場合、金銭的なメリットが大きいのは、親が扶養控除を利用する場合です。勤労学生控除は年収130万円まででなければ利用できないため、大きく稼ぐことはできません。その上、控除額は27万円です。一方、特定扶養控除は63万円であり、親の方が収入も所得税率も高いことから、控除によって得られる節税メリットも大きくなると考えられます。

 

一方、「年収が103万円以下で住民税がかかる」という勤労学生の人は、勤労学生控除を利用することで住民税を非課税にできる可能性があります。この場合は、親の扶養控除も合わせて利用できるので、メリットがあるといえるでしょう。

 

学生の中には、「親の事情なんて関係ない」と思う方もいるかもしれません。しかし、自分が稼ぎ過ぎたせいで、その稼いだ金額以上の額を親に負担させる可能性があることを十分理解しておく必要があります。よく考えずに稼ぎ過ぎてしまうと、親が会社から支給されていた「家族手当」が支給されなくなってしまったり、親の健康保険を抜けなければならなくなってしまったりすることもあります。

 

一方、親の側でも、子どもに働き方やお金のルールを教え、家族全体が損をしない稼ぎ方を一緒に考えていく必要があるでしょう。

  • 著者:平林恵子さん

    人事労務関係の仕事からライターへ転身。
    経験を活かしてコラム執筆を行っています。
    2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。
    税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。


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