数年前の出産費用もまだ間に合う?医療費控除の申請期間と申請方法

更新日:2019/10/07

日本人は原則として国民全員が健康保険に加入しているため、少ない負担で治療を受けたり薬を購入したりすることができます。さらに年間の医療費が一定額を超えると、「医療費控除」を利用して所得税や住民税の控除を受けることも可能です。医療費控除のくわしい申請方法や、対象になるものとならないものをまとめました。

数年前の出産費用もまだ間に合う?医療費控除の申請期間と申請方法

医療費控除とは

医療費控除とは

従来の「医療費控除」というのは、1年間に使った医療費が10万円を超える場合(収入によって異なる場合あり)、超えた金額について所得控除を受けられるという制度です。そのほか、医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)として、日頃から病気の予防を意識している人が薬局などで年間1万2,000円を超える指定の医薬品を購入した場合、超えた金額を控除するという制度もあります。

 

医療費控除を受けるときは、従来の医療費控除かセルフメディケーション税制か、どちらかひとつを選んで利用することになります。両方の控除を受けることはできないため、自分にとってメリットが大きい方を選択しましょう。

 

ここでは、従来通りの医療費控除についてご説明します。

申請期間

申請期間

医療費控除は、過去5年間までさかのぼって申請することができます。「出産費用や不妊治療のお金も対象になるなんて知らなかった!」というときや「忙しくて申請していなかった」というときは、今からでも税金を返してもらえる可能性があるため、申請してみましょう!

 

実際にいくらくらい税金が戻ってくるのかは、国税庁の確定申告作成コーナーに入力をしてみるとわかります。申請前にどのくらいメリットがあるのかわかるため、まずは試してみることをおすすめします。

医療費控除の対象、対象外

医療費控除の対象、対象外

医療費控除の対象は、「治療のために必要な金額」です。具体的には、次のような費用が対象となります。

 

・内科、歯科、外科、皮膚科など、病気になって病院にかかった際の診察費
・病院で処方された薬代
・病院までの交通費(電車、バス、タクシー。自家用車のガソリン代は対象外)
・妊娠、出産時の通院費や入院費
・不妊治療にかかった金額
・入院中の食事代、部屋代
・介護保険サービスを利用した際の自己負担額

 

一方、「治療以外の目的で支払った金額」は医療費控除の対象になりません。病院に支払ったお金であっても、治療と関係のない場合は対象外になります。

 

・健康診断費用(病気が見つかって治療した場合は対象になります)
・予防接種代
・入院時に自分が希望して支払った差額ベッド代
・入院時に用意したパジャマや日用品など
・見た目を美しくするために行った歯科矯正費用

 

なお、医療費控除は年間の支払額のうち、10万円を超えた部分だけが対象になります。そのため、対象になる費用の合計が10万円未満の場合はそもそも利用することができません。

 

年をまたいで治療を受ける際は、治療費を支払ったタイミングでいつの医療費控除の対象になるかが決まります。

 

また、「入院で30万円を支払ったが、加入している保険から25万円の保険金が支払われた」という場合、医療費として認められるのは差額の5万円分だけです。

医療費控除でいくらくらい節税できる?

医療費控除でいくらくらい節税できる?

それでは、実際に医療費控除で節税できる金額はどのくらいなのでしょうか?それぞれの人の収入額によって変わってきますが、簡単には下記の通りです。

 

1. 所得税から節税できる金額(確定申告をすることで還付される額)

医療費控除の対象となる金額(かかった医療費-10万円)×所得税率

 

2. 住民税から節税できる金額(確定申告をすることで低くなる翌年の住民税額)

医療費控除の対象となる金額(かかった医療費-10万円)×10%(住民税の税率)

 

1と2の合計が、節税できる金額の目安です。所得税率は所得の額によって異なり、5%~45%の幅があります。

 

 

【所得額300万円・医療費が15万円のケース】

所得額300万円の人を例にとって、節税できる金額の目安を計算してみましょう。この人は、1年の間に1度入院して20万円を支払い、これに対して30万円の保険金を受け取りました。また、それ以外の医療費に年間15万円かかっています。

 

医療費控除の対象となる金額は、

・入院費用:20万円-30万円=0万円(保険金は支給された治療についてのみ差し引きます)
・それ以外の医療費:15万円(それ以外の医療費)

これらの合計15万円から10万円を差し引いた5万円です。

 

課税所得額が300万円の場合、所得税率は10%ですから、所得税の還付額は5万円×10%=5,000円です。確定申告をすることで、約5,000円が還付されると考えられます(これ以外の新たな申告や修正申告がない場合)。

 

また、翌年の住民税も5万円×10%=5,000円分、確定申告をしない場合よりも安くなると考えられます。

 

つまり、この人は確定申告をすることで、所得税と住民税5,000円ずつ、合計1万円の節税ができる見込みということですね。

申請方法

申請方法

会社員の人は、年末調整で1年間の所得税と翌年の住民税を決定するための手続きを行います。そのため、原則として自分自身で確定申告をする必要はありません。しかし、年末調整には一部対応できない申請があり、医療費控除もそのひとつです。そのため、医療費控除を利用したい場合は、会社員の人でも確定申告をする必要があります。

 

・会社員(収入源は給与だけで副業等なし)
・医療費控除以外に確定申告で申告すべきものはない

 

という条件の人が、確定申告で医療費控除を申請するための方法についてご説明します。

 

 

・確定申告の前の準備

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスして、右側の「医療費集計フォーム」から集計用ファイルをダウンロードします。

https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl

 

日々の医療費の内訳を入力していきましょう。自動で集計してくれるので、10万円をどのくらい超えているのかひと目でわかります。ただし、これはExcelを持っている人でないと使えません。利用できない人は、このステップを飛ばしてください(医療機関で発行された明細書や薬局のレシートを必ず保管しておきましょう)。

 

・確定申告の手順

1. 会社で通常通り年末調整を行う

年末、いつも通り年末調整をしてもらいます。医療費控除については特に何もしなくて大丈夫です。

 

2. 源泉徴収票をもらう

通常、年末か1月の給料日等のタイミングで源泉徴収票をもらえます。これは確定申告に必要な書類なので大切にしましょう。

 

3. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセス

https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl

 

4. 作成開始を押し、ガイドに従って個人情報や源泉徴収票の内容を入力

最初に提出方法を聞かれますが、税務署に郵送を選ぶのが簡単です。申告書の種類は「所得税」、入力方法選択は「給与・年金の方」を選びましょう。同様に、「給与のみ」「1カ所のみ」「年末調整済みである」「医療費控除」を選択していきます。

 

5.「医療費控除」か「セルフメディケーション税制」のどちらかを選択

ここでは医療費控除を選択します。

 

6. 該当の項目を選んで明細書を作成

(準備が済んでいない人)医療費の領収書から入力して、明細書を作成する
(準備が済んでいる人)医療費集計フォームを読み込んで、明細書を作成する

 

7. 控除額や還付額等の結果が表示されるので、確認して次へボタンを押す

 

8. 住所氏名などを入力し、印刷

 

これで提出書類ができました。あとは税務署に郵送するか、持参すれば完了です。医療費控除として申告した病院や薬局の明細書や領収書は提出する必要はありません。自宅で5年間保存しておきましょう。

 

 

医療費控除は数年前の出産費用や入院費用であっても、条件に当てはまればさかのぼって申請することが可能です。心当たりのある方はぜひチェックしておきましょう。

  • 著者:平林恵子さん

    人事労務関係の仕事からライターへ転身。
    経験を活かしてコラム執筆を行っています。
    2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。
    税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。


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