信用倍率を見て株価の動きを知ろう、高いときと低いときで何が違う?

更新日:2021/01/22

信用倍率とは、株価の値動きを予想する際に役立つ指標のひとつです。信用倍率は市場における投資家の動きを示し、信用取引をする人はもちろん、現物取引が中心の人も、信用倍率のチェックは投資をする上で必須と言えます。

信用倍率を見て株価の動きを知ろう、高いときと低いときで何が違う?

信用倍率は「信用取引」の残高によって決まる

信用倍率は「信用取引」の残高によって決まる

信用倍率というのは、信用取引における買い残高÷売り残高によって求められるもので、「貸借倍率」と呼ばれることもあります。

そもそもの「信用取引」や「買い残高」「売り残高」とは、どういうことでしょうか?

株式の売買をするためには、まず、証券口座にお金を入金する必要があります。たとえば、50万円を証券口座に入金した場合、手数料を考えなければ、50万円分までの株式を購入することができます。これが「現物取引」です。

一方の信用取引も、証券会社にお金を入金するというところまでは同じですが、「いくらまでの取引ができるのか」という点が違います。信用取引では、入金したお金を担保に約3.3倍までの金額の株式を購入できるのです。また、信用取引では、現金だけでなく、保有している株券を担保に、株価約3.3倍までの金額の投資を行うこともできます。

つまり、50万円しか証券口座にお金が入っていないにもかかわらず、150万円分の取引ができるというのが「信用取引」なのです。

信用取引には、「買建」と「売建」の2種類があります。

買建は証券口座の現金や株券を担保にお金を借り入れて株券を購入し、値上がりしてから売却することで利益を出す方法です。もちろん、値下がりしてしまった場合は損失が出ますし、値下がり幅が大きい場合は追加保証金の入金を求められる可能性もあります。

一方、売建は、証券口座の現金や株券を担保に株券を借り入れて、それを売却し、後に買い戻して株券を証券会社に返す方法です。A社の株式を100株借り入れて1株1,000円で売却し、後に800円で100株を買い戻して証券会社に返却した場合、200円×100株=2万円の利益が出ます。これが売建です。

信用倍率とは、信用取引の買建と売建の比率を意味します。

信用倍率で何がわかるの?

信用倍率で何がわかるの?

信用倍率を知ることで、市場が「信用売り」と「信用買い」のどちらに傾いているのかを知ることができます。信用倍率が1よりも高ければ、信用買いの残高が信用売りの残高よりも大きいということです。倍率が高くなればなるほど、両者の数値差が大きいということです

信用買いは、買ったときの株価よりも売ったときの株価が高かった場合に利益を得られる方法です。つまり、信用倍率が高いということは、「今後株価が値上がりする」と考えている投資家が多いということです。反対に、信用売りは売ったときよりも安い金額で株価を買い戻したときに利益が得られますから、信用倍率が低いときは、「今後株価が値下がりする」と考えている投資家が多いことを意味します。つまり、信用倍率を見ることで、ほかの投資家たちの動向を知ることができるというわけです。

ただし、信用倍率が高いということは、「将来株を売る」予定の投資家がそれだけたくさんいるということでもあります。また、信用倍率が低い場合は、それとは反対に、「将来株を買い戻す」投資家が多いということです。信用倍率を見るときは、このことについても考慮しておく必要があるでしょう。

3種類の信用倍率と活用法

3種類の信用倍率と活用法

信用倍率は、信用取引残高から計算できます。それでは、信用取引残高はどこでわかるかというと、これには3つの種類があります。

1. 銘柄別信用取引残高
まず、各取引所が週に1度公開する「銘柄別信用取引残高」です。銘柄別の信用取引残高を知ることができます。個別の銘柄の値動きについて指針が欲しい場合は、これを利用することになります。ただし、公開は週に1度だけなので、リアルタイムの状況を知ることはできません。

2. 二市場信用取引残高
「二市場信用取引残高」で、東京証券取引所と名古屋証券取引所の合計の信用取引残高を知ることができます。こちらも週に1度の公開です。市場全体の動きを知るのに役立ちます。

3. 日証金貸借取引残高
また、証券金融会社である日証金も信用取引残高を毎日発表しています。リアルタイムの状況がわかるというメリットがある一方、この取引残高は日証金の元にあるデータのみで、市場全体の数値ではないため、正確性に欠けるのがデメリットです。

株式投資をするときに信用倍率をどの程度重要視するべきか

株式投資をするときに信用倍率をどの程度重要視するべきか

信用倍率は、株価の値動きの傾向を知るための有効な手段です。しかし、信用倍率だけを見て株を買うのはおすすめできません。

信用倍率が低い株は、「将来買う人が多い株」ということですから、値上がりを期待してこのような株を買うという投資家もいます。しかし、株が値下がりする要因となる問題を抱えた企業だった場合は、値下がりが止まらない可能性もあるでしょう。また、そもそも信用取引をしている人の絶対数が少ない場合、信用倍率が傾向を正確に反映していない可能性もあります。

信用倍率は、それだけで株価の動きを把握できるものではありません。信用倍率が低いから、あるいは高いから、将来の値動きがどうなる、と判断するための材料にはならないのです。信用倍率を知り、市場の動きを知ることは大切ですが、あくまでも値動きの傾向を知るための指針でしかないということは意識しておきましょう。

さらに、信用取引について詳しく知りたい方は楽天証券のサイトからご確認いただけます。信用取引をもっと快適にする嬉しいサービスもあるので、ぜひチェックしてみてください。

  • 著者:平林恵子さん

    人事労務関係の仕事からライターへ転身。
    経験を活かしてコラム執筆を行っています。
    2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。
    税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。


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