国民年金の学生納付特例とは?もらえるお金と利用するときの注意点

更新日:2020/02/03

国民年金は、日本に住んでいる20歳から59歳までのすべての人が加入しなければいけないものです。しかし、その中には、まだ働いていない大学生や大学院生もいるでしょう。国民年金の年金保険料は2019年度の場合で月額1万6,410円です。これは大学生からすると非常に大きな金額です。そこで、学生の年金未納を防ぐための制度として、「学生納付特例」が用意されています。

国民年金の学生納付特例とは?もらえるお金と利用するときの注意点

学生納付特例とは

学生納付特例とは

学生納付特例とは、年金に加入しなければいけない人(日本に住んでいる20歳以上59歳以下の人)のうち、収入が一定以下の学生が利用できる制度です。この制度を利用すると、保険料の納付を猶予してもらうことができます。学生納付特例を利用できるのは、次の条件に当てはまる人です。

・所得が少ない学生
学生納付特例を利用できるかどうかは、学生本人の収入だけを基準に決まります。親の収入は関係ありません。具体的な条件は次のとおりです。

本人の所得<118万円+扶養親族の数×38万円+社会保険料控除等の金額

扶養親族の数というのは、学生本人に扶養している子どもなどがいる場合に該当します。親が扶養する兄弟姉妹などは該当しません。

例えば、親の扶養に入ったまま、毎月8万円(1年間で8万円×12か月=96万円)のアルバイトをしている人などは、上記条件に当てはまり、学生納付特例の対象となります。

・大学、大学院、短期大学、高等学校、高等専門学校などに通っている学生
夜間部や通信教育課程の学校なども対象です。私立の各種学校については、都道府県知事の認可を受けている学校のみが対象です。

【学生納付特例対象校一覧】
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/gakutokutaisyouko.html

どんな年金がいつもらえるのか

どんな年金がいつもらえるのか

学生納付特例を利用することで、いつ、どのような年金がもらえるようになるのでしょうか。具体例を見てみましょう。

例1)合計で8年間年金に加入していた人が65歳になったとき
将来年金を受け取るためには、10年以上の加入期間がなければいけません。つまり、8年間しか年金に加入していない場合、通常は年金がもらえません。しかし、この人が学生時代、4年間の学生納付特例を利用していた場合、この期間も加入期間に含めて考えることができます(猶予を受けた後、追納していなくても大丈夫です)。

 

つまり、学生納付特例を申請していれば老齢年金がもらえ、学生納付特例を申請していない場合は老齢年金がもらえないということです。

例2)学生納付特例を利用していた人が障害を負ったとき
国民年金に加入している人が病気やけがで障害を負った場合、障害基礎年金を受給できます。

障害基礎年金を受け取るためには、「障害の原因となった事故などが発生する前々月までの被保険者期間中、3分の2以上保険料を納付していること」もしくは、「障害の原因となった事故などが発生する前々月までの1年間に納めるべき保険料を全額納めていること」が必要です。学生納付特例を利用している期間は、この判定をするときの「納付期間」に含まれます。

一方、学生納付特例を利用せず、年金保険料を支払ってもいなかった場合は、障害基礎年金は受け取れません。

 

このように、学生納付特例は、「利用せずに保険料を未納にしているよりも得」というだけで、年金保険料を通常通り支払っていた場合と比較して得になるわけではありません。学生なので払えないという理由で年金保険料を未納のままにしておいたり、追納しないまま放置したりしていると、万が一の場合に年金がもらえない可能性が出てきます。

また、本来、未納の保険料は2年以内に納付しなければなりません。学生納付特例を利用すれば、10年分までさかのぼって追納することができるので、将来の年金額を増やせます。年金保険料を支払うのが難しい人は積極的に利用しましょう。

知っておいたほうがよい注意点とは

知っておいたほうがよい注意点とは

学生納付特例は、あくまでも年金保険料の支払いを猶予してもらえる制度です。利用を検討するときは、具体的な制度の内容と注意点を知っておく必要があります。

・将来受け取れる年金額が増えるわけではない
学生納付特例は、利用したとしても将来受け取れる年金額が増えるわけではありません。「年金保険料を8年支払って2年学生納付特例を利用した人」も、「年金保険料を10年支払った人」も、将来年金を受け取ることができますが、受け取れる金額は年金保険料を10年支払った人のほうが高くなるのです。

将来保険料を満額受け取るための条件は、原則として20歳になってから60歳になるまでの480カ月分、年金保険料を納めることです。

・追納するのが3年以上後になると保険料が値上がりする
学生納付特例を受けた年金保険料は、10年間さかのぼって追納できます。ただし、追納するのが3年以上後になった場合は、加算金が課せられます。

・保険料を安く済ませたい場合は前納制度を利用する
学生納付特例は年金保険料を節約できる制度ではありません。納めなかった分は、将来の年金額として自分に返ってきてしまいます。保険料を節約したいときは、割引が受けられる2年前納税度などを利用しましょう。

・支払った保険料は社会保険料控除の対象になる
年金保険料を支払うと、社会保険料控除の対象としてその年の所得税や翌年の住民税を減らすことができます。社会人になってから年金を追納するとき、その年の所得税や住民税を節税できるでしょう。

なお、家族の保険料は社会保険料控除の対象になることを利用して、親が学生の子どもの年金保険料を支払い、自分の所得税や住民税を節税することも考えられます。

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  • 著者:平林恵子さん

    人事労務関係の仕事からライターへ転身。
    経験を活かしてコラム執筆を行っています。
    2017年、見識を深めるためにFPの資格を取得しました。
    税金や給与計算などに詳しくない方にもわかりやすい解説を心がけています。


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