プラチナ価格が下落しているのはなぜか。世界の景気変動が関係している?

更新日:2020/09/18

プラチナというと、まず思い出すのは結婚指輪の素材になる金属だということかもしれません。ライフイベントを飾る重要なアイテムの素材にふさわしい希少な貴金属です。プラチナは世界の市場で取引されていて、その価格は様々な要因で変動しています。世界各国の経済にダメージを与えている新型コロナウイルスからの影響も、見逃せません。今回は、現在のプラチナ市場で何が起こっているのかを詳しくみていきたいと思います。

プラチナ価格が下落しているのはなぜか。世界の景気変動が関係している?

主なプラチナの産出国は?ベスト8

主なプラチナの産出国は?ベスト8

プラチナの産出量は、南アフリカ共和国に大きくかたよっているのが特徴です。2018年のプラチナ産出量ランキングをみてみましょう。1位の南アフリカ共和国が、137,053kg。全世界での合計が約190,000kgなので、全体の72%を1つの国で占めることになります。2位はロシアで、22,000kg。3位はジンバブエの15,000kgです。1位との差が大きいのがわかります。

 

4位以下は次のとおり。4位がカナダで7,400kg、5位はアメリカの4,160kg、6位が中国で2,500kg、7位はフィンランドで1,576kg、8位がコロンビアの269kgとなっています。

プラチナはなぜ希少な金属?

プラチナはなぜ希少な金属?

プラチナの希少性は、地殻での含有量を知ると実感できるでしょう。プラチナは地殻1t(トン)あたりの産出が、0.001g。ほんのわずかしか見つからないことがわかります。金と比較してみましょう。通常の鉱山でとれる金の量は、1tあたり3gです。プラチナは、金と比べても希少な金属となっています。

 

プラチナは何に使われるのか、その用途について確認しておきましょう。プラチナは指輪などのジュエリーや通貨として使われたり、投資対象として取引されたりしています。そしてもう1つ注目しておきたいのが、触媒としての用途。とくにディーゼル車の排気ガスを浄化するための浄化触媒としてプラチナが利用されているのです。自動車産業の動向は、プラチナへの需要に影響を与える要素となっています。

 

ちなみにプラチナは、漢字で書くと「白金」です。このことからホワイトゴールドと呼ばれる合金と、勘違いされることが多くなっています。ホワイトゴールドは、金にパラジウムなどを混ぜた合金。プラチナとは異なる金属です。色が似ていることも、混同しやすい原因かもしれません。

日本でもごく少量産出されているプラチナ

プラチナの産出量は、そのほとんどを南アフリカ共和国が占めています。しかし、日本でもわずかながら産出されています。日本でプラチナが見つかっているのは、北海道や新潟県。

 

北海道の場合プラチナが見つかっているのは、天塩川や石狩川といった河川。「砂白金(さはっきん)」と呼ばれる砂金のような砂状のもので、プラチナだけでなく、イリジウムやルテニウムなど様々な元素が混じった状態のものです。形は摩耗して丸くなったものや、角張ったままになっているもののほか、六角形の結晶の形で見つかることもあります。

ここ数年プラチナ価格が下がっている?

ここ数年プラチナ価格が下がっている?

プラチナの価格は、よく金の価格と比較されます。希少性からするとプラチナの方が、価値が高いように感じられるでしょう。しかし2015年から現在まで、プラチナの価格が金の価格を下回る状態が続いています。

 

金は投資対象として取引されることが多い金属です。安全資産としての評価もあり、ここ最近でも価格が上昇しています。一方のプラチナは、約7割が工業用として取引されています。とくにディーゼル車の排ガス触媒としての需要が大きいのが特徴です。

 

しかし2015年にフォルクスワーゲンのディーゼル車の排ガス不正が発覚して以来、ヨーロッパの消費者が「ディーゼル車離れ」の傾向を示すようになりました。そのような事情もあり、金の価格が上昇する一方で、プラチナの価格は下落しています。2020年2月からは、プラチナの価格が金の半値を割り込むという状況が続いています。プラチナ価格が上昇するには、排ガス触媒以外の新たな需要が必要なのかもしれません。

新型コロナウイルスが与えたプラチナ産出国へのダメージは?

新型コロナウイルスが与えたプラチナ産出国へのダメージは?

2020年2月に、金価格の半値を割り込むことになったプラチナ価格。ここには世界的に流行している、新型コロナウイルスの影響をみることができます。ウイルス感染の拡大を防ぐため、各国が経済活動の抑制を進めました。その結果、自動車の生産も大幅に落ち込んでしまいました。自動車の中にはディーゼル車も含まれており、排ガス触媒に使うプラチナへの需要も減ると考えられたことが今年に入ってプラチナ価格を下げた大きな要因といえるでしょう。

 

新型コロナウイルスの流行は、プラチナの最大産出国である南アフリカ共和国にも、ダメージを与えています。南アフリカ共和国の経済は、世界各国からの投資に頼るところが大きいという性質があります。現在、投資家はリスクを避けるため、投資資金を引き上げている状況。これにより南アフリカ共和国の通貨、ランドのドルに対する価値が下がっているのです。

 

円のドルに対する価値が下がり、円安になると日本の輸出産業は有利になります。これと同じようにランド安になると、南アフリカ共和国の輸出産業にとっては有利な状況となります。ここで出てくるのが、プラチナの輸出量が増えるのではないかという予測。市場に出回るプラチナの量が増えるとの憶測も、プラチナ価格下落の要因になっています。

 

このようにプラチナ価格は、世界の様々な出来事から影響を受けて変動しています。プラチナ価格の性質や変動の要因をさらに勉強すれば、プラチナへの投資にチャレンジできるようになるでしょう。楽天証券に口座を開設すれば、金・プラチナ取引を始めることができます。毎月1,000円からの積み立ても可能です。市場では大きく価格を下げたプラチナに注目が集まっています。

  • 著者:黒川ヤスヒトさん

    証券会社でリテール営業を経験し、AFP資格を取得。
    現在ライターとして、パーソナルファイナンスに関する情報の発信を手がけています。
    関心分野は、ライフプランに関する意識調査や最新の金融商品・サービスなど。


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