100のやりたいことリストから始める。コーチングのプロ小林舞依さんに聞く「自分の価値」の見つけ方

100のやりたいことリストから始める。
コーチングのプロ小林舞依さんに聞く「自分の価値」の見つけ方

結婚、出産、育児とライフイベントが多い、20~30代の女性。「女性の幸せは結婚、出産」という時代ではないけれど、どこか息苦しさを感じることもあるのではないでしょうか。その背景にあるのは、無意識のうちに縛られている固定観念かもしれません。コーチングに出会い、自分が本当に大切にしたかったことに気づいた小林舞依さん。コーチングで理想の人生を生きられる人を増やしたいとコーチング会社を起業し、前向きに頑張る女性を応援するコミュニティ「東京営業女子会」の主宰も務める小林さんに、本心に気づく方法、自分の価値の見つけ方についてうかがいました。
更新日:2021/1/12

大切なのは「お金」だけじゃなかった。コーチングに出会い見つけた自分の本心

マネ活編集部:小林さんがコーチングに出会われるまでの経緯について、お聞かせください。

 

小林:母子家庭で育ち、高校卒業後に就職しました。就職して1年ほど経った頃、母が病気になり、働けなくなったんです。「家族を支えられるようにならなきゃ」と思いましたね。この頃からお金を稼ぐことを重視するようになりました。

 

その後も、「東京で働く方がもっと稼げる」と思い上京したり、お給料を重視して不動産投資会社の営業に転職したり。やりたいことかどうかの判断軸も当然あったのですが、稼げるかどうかはかなり大きかったですね。

 

コーチングと出会ったのは30歳のときでした。ある企業の営業研修の講師を任され、指導方法を考えていたとき、コーチングという技術を知ったんです。そんな折、ちょうど知人からコーチングセミナーに誘われたので受けてみることにしました。マンツーマンではなく、グループレッスンのスタイルで、150人程が集まっていました。

 

マネ活編集部:まずはご自身がコーチングを受けてみたのですね。いかがでしたか?

 

小林:衝撃を受けたのは、自分にとって1番大切なものが「お金」ではなかったとわかったことですね。セミナーでは、参加者がペアを組み、ひたすら「あなたにとって大切なことはなんですか?」と問いかけ合うワークがありました。繰り返し「何が大切ですか?」と尋ねられるなかで、最終的に「自分自身です」という言葉が口から出てきたんです。自分の本心に気づいて涙が止まらなくなりました。知らないうちに、自分を抑圧して生きていたんだと思いましたね。同時に、私と同じように自分を抑圧して生きている人に、コーチングを知ってほしいと思うようになりました。

 

翌年、コミュニティ「東京営業女子会」の立ち上げ準備に取り掛かりました。働く女性が業界をまたいで、情報交換ができる場が少ないと感じていたんです。その想いを知り合いの起業家に相談し、「コミュニティを立ち上げたらいいんじゃない?」と教えていただいたのが発足のきっかけでした。

 

マネ活編集部:東京「営業」女子会ということは、営業職の女性が対象なのですか?

 

小林:最初は営業職の女性のみでした。ただ、回を重ねるうちに、営業とは関係ない経理、人事といったバックオフィスの方や教育、医療関係の方にも「営業のノウハウが知りたいです」と言っていただけて。最近は、女性起業家の方にも多くご参加いただいています。営業職以外の方にニーズがあることは、始めたあとで気付きましたね。

「固定観念」を壊した先に、自分にとっての答えがある

マネ活編集部:小林さんは、コーチングをきっかけに自分にとって大切なものがお金だけではないと気づかれました。本当に自分が大切にしたいことは、固定観念に縛られて、案外自分でもわかっていないと思います。コーチングや東京営業女子会で多くの女性を見てきている小林さんは、どのように感じられていますか?

 

小林:やっぱり、20代30代の女性は固定観念に縛られて苦しんでいる方がいるなと感じます。20代後半になると「まだ結婚しないの?」と言われることがありますし。そうした外からの声を受けて、本当は結婚したいと思っていないのに、結婚しなきゃいけないと思っている方はすごく多いですね。

 

マネ活編集部:どうすれば、自分の本心を見つけられるでしょうか。

 

小林:私がコーチングの生徒さんにお伝えしているのは、やりたいことリストを100個書き出すことですね。100個書き上げたあとで、本当に結婚してやりたいことが出ているのかを客観視してみるんです。

 

マネ活編集部:100個書き出すなかで、「固定観念による思い込みにすぎなかったやりたいこと」から、「本当にやりたいと思っていること」に意識が向いていくのでしょうか。

 

小林:100個書いて、ようやく本心が出てくる人も少なくないと思っています。公務員として働きながら子育てをしている女性は、2年ほど時間をかけて見つけられていましたね。とくに母親はこうあるべきという固定観念が強かったです。子どもが中学生にあがっても、「お母さんは夜に家にいなければならない」とか。コーチングを通してだんだんと「別に自分と子どもがいいならいいんじゃない?」と思えるようになられました。今は、公務員を辞め、フリーでお仕事をされているようです。

 

 

マネ活編集部:「母だから」に縛られている女性は多いと感じます。

 

小林:そうですね。お子さんがいらっしゃる方からは、「起業してみたいんだけど、家事育児との両立をどうしよう」とか、「発信していきたいけど、SNSに母親が顔を出すのはどうなんだろう。夫から反対されるかもしれないし」というお話もよくお聞きします。

 

マネ活編集部:どのようにアドバイスされているのですか?

 

小林:「やってみたいならやってみたらいいんじゃないですか、怒られたら私も一緒に謝りに行きますよ」と言っています(笑)。ただ、きちんと夫や子どもに「SNSで発信していきたい」「講座に行きたい」「集客してイベントをやってみたい」と話をしてみると、納得して応援してもらえることが多いんですよ。

 

マネ活編集部:ちょっと意外でした。頭ごなしに反対されるのかなと感じていたのですが。

 

小林:そうでもないんです。話を持ち掛けるときに、「やりたい」「行きたい」と自分の気持ちをきちんと全面に出すことが大切だと思います。例えば、「これに行きたいと思ってるんだけど、受講料が10万円かかるんだ。高いよね…?」と聞くと、夫の返答は「そうだね、高いね」となることが多いです。私が夫役としてシミュレーションをするときは、そこから「何でそれに行きたいの?」と尋ねます。すると、「これこれこうで」と言葉が出てくる。その言葉を伝えましょうとお伝えしています。

 

「旦那さんに相談しないと自分で決められないんですか」と言われる方もいますが、お伺いを立てるのではなく、報告して許可を得ることは家族だからこそ必要ではないかと思っています。わざわざ関係が悪くなることはしたくありませんよね。

 

100個リストは内省することで自分の本心を探る方法ですが、固定観念から解き放たれるには、自分の内側だけを見るのではなく、誰かの話を聞くのも有効です。自分とは違う生き方をしている人の話を聞くことは、視野を広げてくれます。

 

自分の選択肢って、自分の見聞きしてきた範囲内でしか広がらないですよね。まずは気になる人を見つけて話を聞いてみると、意外と凝り固まっていた自分にも気づけると思います。

「給料が上がらない=即転職」の前に。自身の価値を見つめ直して交渉する姿勢を持とう

マネ活編集部:自分の本心に従い、やりたいことができても、お給料が低く、モヤモヤしている人もいると思います。「転職をしたほうがいいのかな」と迷っている方に、小林さんならどういったアドバイスをされますか?

 

小林:お給料が上がらないことに悩んでいるのであれば、きちんと交渉すればいいと思っています。「お金の話をするのは…」と抵抗を感じるのであれば、やみくもにお金の話をするのではなく、理由を説明した上で上司に話してみればいいと思うんですよ。その理由は、「モチベーションを上げたいから」だっていい。例えば、10年勤めているのにお給料が上がらなくて、モヤモヤしている、とそのまま伝えてみればいいんです。

 

1万円でもお給料が上がることで、「またこの会社でがんばろう」と思えるなら、会社にとっても大きなことだと思うんです。逆に、10年勤めた彼女が辞めてしまって、新たに採用することになるほうが、会社としてもコストがかかります。実際に打診をして、昇給や昇格を果たした方は意外と多いんですよ。

 

マネ活編集部:自己アピールをしても良いのですね。

 

小林:どんどんアピールしたほうがいいと思います。上司や経営者の方は、常にいろいろなことを考えていて忙しいですから。給与アップも考えていないわけではなく、そちらに頭が回っていないだけだったりするんですよね。

 

マネ活編集部:アピールするには、自分の価値を上司に説明して理解してもらう必要があると思います。営業職のように売上というわかりやすい成果がある仕事ではない場合、どうすれば良いでしょうか。

 

小林:上司が評価しやすい判断材料は、どれだけコストカットができたのか、どれだけ純利益を出せたのかといったことです。以前、人事の方にアドバイスした事例があります。その方のいる部署は、社員からの電話がひっきりなしにきて毎日大変なのに、残業代は出ないしボーナスも少なかったそうです。私は、どうすれば電話の数を減らしてコストカットできるのかを考えましょうとお伝えしました。業務改善策を提示して、削減できる人件費をざっくり計算してみる。コストと利益に対する意識を持っていただくといいのではないかと思います。

 

奥にある自分の本当の気持ちを見つけることが、自分にとっての幸せの第一歩

マネ活編集部:常にお金が足りなく感じ、人生に満足感を得られない人も多いと思います。「もっとお給料がほしい...」そのような気持ちとはどう付き合うのが良いでしょうか。

 

小林:やみくもに「お金がほしい」と思っている方は、まずお給料がアップしたら何をしたいのかを考えてみてほしいです。ブランドバッグをキャッシュで買いたいとか、ランチを1,000円から1,500円にしたいとか。内容は何でもいいので、把握しておく必要があります。目的が理解できていないままだと、たとえ給料が上がってもずっと不満足でいることになってしまうと思うんですよね。

 

マネ活編集部:特に20代の女性は出産や育児などライフイベントで、人生が大きく変わります。不確定な要素が多いなかで、事前に準備できることがあれば、アドバイスをいただけますか?

 

小林:仕事を続けるにしろ、結婚や育児でスローダウンするにせよ、お金は味方になってくれます。ある程度は貯めておくと良いのではないかと思いますね。一方で、自分が最低限いくらあれば生活していけるのかを把握しておくことも大切です。自分にとっての最低生活費を考えたことがない女性の方は意外と多いのですが、ここを把握しておくと、転職や独立する際の判断にも役立つんですよ。

 

マネ活編集部:コーチングを受けて独立に踏み切られる方は多いのですか?

 

小林:私は基本的に副業から始めたほうがいいですよとお伝えしていますが、最終的に独立される方は割といます。来年の春に退職が決まっている方が3名いらっしゃいますよ。もともとの相談内容は「転職したい」だったのに、コーチングを受けた結果、「起業したい」に変わった方もいました。

 

コーチングの一つとして、今の自分に点数をつけるワークを行っています。マンダラチャートというフレームワークを、私なりにアレンジしたものです。通常、実現したい願望を真ん中に書き、達成するための関連ワードで周りをうめていくのですが、私の場合は周りから埋めていきます。中心に向かって、自分の願望を言語化し、ブラッシュアップするんです。こうしたワークを経て、自分が大切にしたいものに気づかれていきます。起業したいと気づいた彼女は、デザインの仕事で独立しました。

 

自身の経験も踏まえ、自分やお金との向き合い方について話してくださった小林さん

 

マネ活編集部:ありがとうございます。最後に、生き方が多様化するなかでキャリアや人生に行き詰まりを感じている女性に、メッセージをいただけますか。

 

小林:私は、コーチングを受けたこと、いろいろな生き方の女性に出会ったことで、固定観念に気づけ、自分が本当に望む生き方を見つけられたと思っています。無意識に固定観念に縛られている方も多いと思うので、少しずつ解きほぐして、心の奥にある自分の本当の気持ちを見つけていただけたらと思いますね。ぜひ、まずは100個のやりたいことリストを書き出してみていただきたいです。

  • 小林舞依さん

    H&S coaching代表・キャリアアップコーチ。東京営業女子会 主宰。日経xwomanアンバサダー。目黒区在住、宮城県亘理町生まれ。一般事務、メーカーでの商品開発を経て、営業・接客業に11年従事。うち2年半は営業指導に注力し、大手通信企業の売上目標に貢献。2018年に独立し、中間管理職向けの目標達成コーチングを提供中。日経クロスウーマンでは20〜30代の読者層に向け社内セルフブランディングについて登壇。


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